手巻きおにぎり店を運営する難しさ
2002年11月30日日本経済新聞に「おにぎり復権 専門店相次ぎ誕生」という記事が掲載されました。
健康志向を強める消費者からヘルシーな和食として見直され、素材に拘ったおにぎり専門店の出店が相次いでいるという内容です。
そこに掲載されたおにぎり専門店(チェーン店)は以下の7企業でした(2002年11月時の出店数)。
1.おむすび権米衛(イワイ)12店
2.ゆのたに俵大名(西武百貨店)15店
3.重吉(京樽)7店
4.おにぎん(ディーズインターナショナル)2店
5.おにぎりキッチンOM'S(ファーストキッチン)2店
6.Ony(レイズインターナショナル)1店
7.おむずび伝(ホットランド)1店
その当時食べ歩きをしていた私は、おむすび伝以外の店舗を利用したことがあります。4~6は、おしゃれな店舗レイアウトであり、若い女性で賑わっていた記憶があります。
2018年9月末現在、5~7は撤退しています。そして、あたかもブームのような記事内容に反し、店舗数を伸ばしているのは「おむすび権米衛(海外含め46店舗)」だけというのが現実です。本当におむすび権米衛には頭が下る思いです。
これは手作りおにぎり店運営が簡単ではないことを物語っています。
【運営が難しい理由】
・競合~コンビニエンスおにぎりは、低価格でそれなりに美味しい(海苔がわけてあるので、夜購入したものを翌朝食べた場合は勝てないかも知れない)
・米を炊き、具材を仕込み、手でにぎり、接客するという作業は多大な労働力を伴う
・都内において、おにぎり最大需要時間は早朝であり、その需要数を仕込むめには始発電車で出社する必要がある(スタッフを揃えるのが難しい、それでなくとも人材不足で手際よく握れるスタッフの育成もしなければならない)
・鮮度が重要なおにぎりは、売れ残ると廃棄しなければならない(ロス率が高い)
・人件費、水道光熱費、店舗家賃がバカ高い都内で飲食店を運営するのは、ただでさえ難しいのに、100円~200円の手巻きおにぎりは、薄利多売を絵に描いたような商材)
【結論】
おにぎりチェーン店は、志のある人にしかできない商売である。